肩関節脱臼

shoulder dislocation

肩関節脱臼とは

肩関節脱臼の原因

肩関節脱臼の原因

いっぱんに「肩が外れた」という状態のことを「肩関節脱臼」といいます。肩関節は動く範囲が広く、骨での安定性が低いため、最も外れやすい関節の一つです。腕が後ろに持っていかれるような力が加わるときなどに起こりやすく、特に柔道やラグビー、アメリカンフットボールといった選手同士が強く接触し合うコンタクトスポーツで多く見られます。またその他のスポーツでも転倒などで肩関節脱臼を生じることがあります。複数回繰り返す肩脱臼を「反復性肩関節脱臼」といいます。
肩関節は、球の形をした上腕骨頭(じょうわんこっとう)が肩関節の受け皿である関節窩(かんせつか)に乗っています。肩の脱臼は、腕の骨が、この関節窩から外れることで起きます。

肩関節脱臼の症状

肩を脱臼すると、痛みにより腕を動かせなくなることが多く、また場合によっては肩や腕に力が入りにくくなる場合もあります。特に反復性肩関節脱臼の場合には、肩関節を外側に開く、または外旋(外側方向に回転させること)すると、痛みが走ったり肩が脱臼しそうになる不安を感じることがあります。
肩を脱臼したと思ったら、自分で無理に動かそうとせず、肩の専門医師のいるクリニックを受診しましょう。

肩関節脱臼の診断

まずは問診によりどのような場面で脱臼を起こしたのかをお聞きした上で、触診や視診により状態を把握します。
さらに必要に応じてレントゲン・CT検査・MRI検査などの画像診断を行うことで診断を行います。

肩関節脱臼の治療

整復すると肩関節を動かせるようになりますが、断裂した組織を修復させるために、痛みのある間は三角巾や装具を用いて固定しておくことが多いです。
ただし、日常生活やスポーツ中に、脱臼を繰り返すようであれば手術が必要になります。

手術療法

反復性肩関節脱臼の手術は、「直視下手術」「肩関節鏡手術」の2つに分類されます。
当院では、主に直視下手術に比べて患者さんの負担が少ない「肩関節鏡手術」を行っています。1cm程度の小さな穴を3箇所程度開けて、肩の後ろ側から関節鏡を挿入する方法を取ります。全身麻酔をした状態で行いますので、手術中の痛みはほとんどありません。
入院の期間は当院では約1週間と、早期の退院も可能です。退院後は、装具を3〜4週間装着し、固定する必要があります。

肩関節脱臼に関する
よくある質問

肩関節脱臼の手術費用はいくらくらいですか?
手術方法や入院期間などによって費用は異なります。
高額療養費制度を利用することで、自己負担金を軽減することができます。詳細は当院のスタッフにお尋ねください。
手術後スポーツへ復帰するためには、どれくらいの期間がかかりますか?
一般的には、ジョギングなどの軽めの運動には3ヶ月ほど、激しい運動ができるようになるためには半年ほどかかります。これらは、手術後のリハビリの進み具合で前後することがあります。
反復性肩関節脱臼は、手術をしないといけませんか?
手術以外の方法では損傷した部位を修復することが難しいため、基本的には日常生活やスポーツなどで困っている場合は手術をおすすめいたします。ただし、個々の事情があるかと思いますので、まずは一度お話をお聞かせください。ご状況に応じた治療方法をご提案いたします。
文責

医師竹内 康剛

日本整形外科学会専門医